音楽は気分を上げてくれたり、落ち込んでいるときに励ましてくれる効果があります。今回は、歌詞に注目していきたいと思います。
この記事では、心が疲れているときに励まされたり、自分の考えの浅さに気づかしてくれた大切な歌詞を5つ紹介します。
- ➀やじろべいみたいな正しさだ
- ➁生きていて生きていてよかった、そんな夜を探している
- ③世界が僕らを置き去りにするから、負けじと彼らをなおざりにしてやった
- ④離さないって決めたから、守りたいって言ったのさ
- ⑤あの頃に戻れるなら 僕に何が出来るだろう 多分何も変わらなくて きっと今の僕には変えられない
- まとめ
- 紹介した曲
➀やじろべいみたいな正しさだ
曲紹介
BUMP OF CHICKEN『なないろ』(2021年)
NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」の主題歌になった曲です。
心に傷を抱えていながらも前向きに生きていく様子が描かれた歌詞に爽快なメロディーが特徴の曲です。
ポイント
やじろべいとは、短い棒に人形をつけてその両手を長くして端に重りをつけ、中心の棒を支えるだけでうまく釣り合いがとれて倒れないようにしたものです。
”やじろべいみたいな正しさ”とは、左右のどちらかにほんの少し力が加わるだけですぐに倒れていまう、不安定さを表しているのではないでしょうか。
自分が絶対に正しいと思っていることも、それがどの時代でも、全世界共通の正しさとは限りません。正しさは時代や、住んでいる場所によっても変わります。
例えば、ほんの数十年前は、男性は外で働き、女性は家事・育児をするという性別役割分業が当たり前でした。しかし、現在ではその考え方は差別的な考え方とされ、男女平等が唱えられています。
他の例をあげると、日本ではだされた食事は残さないで食べるのがマナーであるとされています。しかし、近国の中国では「料理を完食する=足りなかった」を表すため、少し料理を残すことで「おなか一杯いただきました、満足です」という気持ちを表現することになるのです。
このように、いつ、どこで生きているのかによって正しさが異なってくるのです。また、自分が正しいと思っていたことが少しのきっかけで崩れてしまうことがあります。自分が信じている正しさは、住んでいる場所の文化や出会った人に影響されて形作られたものです。そのため、その正しさが絶対ということはありえません。
正しさで善悪を決めるのではなく、理解と受容が大切であると、”やじろべいみたいな正しさだ”という歌詞から学ぶことが出来ます。
➁生きていて生きていてよかった、そんな夜を探している
曲紹介
フラワーカンパニーズの『深夜高速』(2004年)
この曲は力強いサウンドと心の思いを吐き出したような歌詞で構成されています。
「生きていてよかった、そんな夜を探している」という歌詞は曲のサビで歌われます。
ポイント
日々過ごしていて、”生きててよかった”と思うことがありますか?
楽しい時もあれば悩みもがいている日もあるでしょう。どんなに日々が辛くても、心に傷を負っていても、昼間は笑ってごまかし、繕ってなんとか嘘をつけてしまう。しかし、夜1人になったとき、それができるだろうか。
なぜか夜になると孤独感に襲われたり生きることが面倒になったり、そういう感覚に襲われたことはありませんか?
夜は自分の心に嘘がつけない気がします。だからこそ、自分の心に嘘が付けなくなる夜に”生きていてよかった”と思えるはきっとすごいことです。
今は、悩み事や辛い気持ちを抱えているかもしれません。しかし、いつか”生きていてよかった”と思える夜が来るように今日も生きていく、そんな覚悟が持てる歌詞です。
③世界が僕らを置き去りにするから、負けじと彼らをなおざりにしてやった
曲紹介
RADWINPS『君と羊と青』(2011年)
この曲は、軽快はテンポで1分30秒と短い間に少し変わった面白い歌詞が詰め込まれています。
ポイント
この歌詞を聞いたとき、この曲の主人公の生き方に惚れました。
きっと世界から置き去りにされたら、焦って取り乱して「置いていかないでくれ」と泣きついてしまうでしょう。しかし、この主人公はそんな素振りをみせず、負けじと彼らをなおざりにしてやるのです。なおざりとは特に注目せず何の対応もしないという意味です。
この歌詞をよくみると、”僕ら”とあり、主人公は1人ではないことがわかります。また、世界は”彼ら”とあり、世界と比喩していることから多数であることがわかります。
このようなことから主人公は自分にとって大切な人と一緒なら、その他の大多数に捨てられてもかまわないと表現していると考えられます。
誰しも、人から嫌われたくないしできるなら全員から好かれたいと思うでしょう。しかし、それが叶わない場面に出会うこともあります。
例えば、学校や会社で自分の大切な友達が傷つけられているとき、あなたはどう行動しますか?助けますか、それとも自分が標的にされてしまうかもしれないと恐れ、みて見ぬふりをしますか?大切な友達1人を助けることで、友達を傷つける多数派に嫌われるかもしれません。しかし、大切な友達を捨ててまで、その多数派に好かれることに何の意味があるのでしょうか?
この曲の主人公であれば、きっと周りから距離を置かれても自分が大切にしたい人を選ぶでしょう。
自分が何を大切にしたいのかを明確に選び抜くことができる主人公の生き方には、学ぶべきところが多くあります。
④離さないって決めたから、守りたいって言ったのさ
曲紹介
Da-iCE『CITRUS』(2020年)
この曲は、ドラマ「極道夫道」のために書き下ろされ、「自分信じた道を極める」ことの大切さや決意が表現されています。
ポイント
この歌詞を聞いて、気持ちを言葉にするのは簡単だけど言葉に覚悟をのせて伝えることはとても勇気がいるのだと教えられました。
大切な人を”守りたい”と思っても、それを相手に伝えるだけではただの口約束になってしまいます。一緒に過ごしている今だけ守るなんて中途半端な決意では大切な人を守れるのでしょうか。この人を一生離さないと覚悟をもつことで、この先どんなときも守っていくという決意を伝えられるのです。”守りたい”という言葉の意味の重みをこの歌詞から教えられました。
言葉には力があり、だからこそ発した言葉にきちんと責任を持たなければならないのです。
⑤あの頃に戻れるなら 僕に何が出来るだろう 多分何も変わらなくて きっと今の僕には変えられない
曲紹介
三浦春馬『Night Diver』(2020年)
リズミカルな曲調に畳みかけるような歌詞が特徴の曲です。
ポイント
誰しも過去に自分が行った行動や発した言葉に後悔していることはあるのではないでしょうか。
この歌詞は、過去に戻ってやり直したい、でも今の自分にはその後悔を消したりなかったことにはできないと表しています。
後悔しているということは、同じ過ちを犯すことはないでしょう。だからこそ後悔をしていたとしても、その出来事を無かったことにしたり記憶から消したいとは思いません。そうでなければ、またいつか同じ過ちを犯してしまうからです。
この歌詞から、後悔を忘れたりするのではなく、それを抱えたまま前を歩いて行くことが大切であるということを教えられます。
「過去に戻りたい」「あの時から前に進めない」という考えから、「教訓にする」という前向き考え方への移行が必要なのです。
同じ過ちを犯さないと決意して前を向くことが、自分が犯した後悔と向き合っているといえるのではないでしょうか。
まとめ
今回は歌詞に注目して言葉に込められた意味を考察していきました。
人によっては異なる解釈をする場合もあると思います。人それぞれ歌詞をどう受け取るのかは自由です。今日の自分の心が少し明るくなるように、作詞家が紡ぎ出した歌詞を自分なりにぜひ受け取ってみて下さい。
紹介した曲
・BUMP OF CHICKEN『なないろ』(2021年)
・フラワーカンパニーズの『深夜高速』(2004年)
・RADWINPS『君と羊と青』(2011年)
・Da-iCE『CITRUS』(2020年)
・三浦春馬『Night Diver』(2020年)