「星の王子様」は200以上の国と地域で翻訳されている小説です。
この物語の中には、人生を豊かにする知恵や教訓が隠されています。
言葉を丁寧に追いかけ、「大切な言葉」を見落とさないようにしましょう。
この物語に出てくる言葉は、忘れかけていたものをハッと思い出させてくれたり、見えなかったものに気づかせてくれるかもしれません。
このページでは、物語から読み取れる7つの教訓を紹介します。
- 本の紹介
- 教訓①ー物事に意味を求め続けると見落としが出るー
- 教訓②ー大切なものの優先順位を間違えないー
- 教訓③-姿が見えない愛情に気づくこと-
- 教訓④-指摘された自分の欠点を認める勇気をもつ-
- 教訓⑤-変化を恐れてはいけない-
- 教訓⑥-人との距離を一気に縮めようとしない-
- 教訓⑦-大人のになったからこそできる冒険がある-
本の紹介
基本情報
タイトル:「星の王子様」(日本語訳版)
著者 :アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
初出版 :1943年にアメリカにて(タイトル‥The Little Prince)
あらすじ
飛行機で砂漠に不時着した「僕」は一人の少年と出会う。その少年は、自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子様であった。
教訓①ー物事に意味を求め続けると見落としが出るー
大人たちにはいつだって説明がいる
(「星の王子様」第1章より)
上記の言葉は、6歳のときの「僕」が、大人に対して思っていたことです。
大人たちはいつだって物事や行動に意味・理由を見出そうとします。
意味のあるものだけを受け入れて、あとは無駄・知らなくいいこと・やらなくていいことに分類します。そして「○○のために」を求め、合理的に人生を歩もうとします。
例えば、大学生の方は「就職のために」海外に行く、ボランティアをするなど…。
なかには就職活動で有利になりそう、という理由で海外に行ったとして、思わぬ発見や得られる経験があるのかもしれません。
しかし、意味や理由に執着すると、自分の可能性や価値ある発見を素通りしてしまうことがあるのです。
上記の言葉は私たちにこう問うています。
ゴールまで一直線に走り、その途中にある大切な知見や学び・人との出会いを素通りしていませんか?
教訓②ー大切なものの優先順位を間違えないー
仕事には、先延ばしにしてもだいじょうぶなものも、たまにある。でもバオバブの場合は、ぜったいに取り返しがつかなくなる。
(「星の王子様」第5章)
上記の言葉は、王子様が自分の星で毎朝行っていた、バオバブを抜くという簡単で面白くない仕事を「僕」に話したときに言いました。王子様の星に生えてくるバオバブという種は、抜くこと自体は楽な仕事ですが、抜くのが遅くなると星を滅亡に追い来むほど危ない種です。
バオバブを抜くという仕事を、忙しさで忘れてしまったり、毎日するのが面倒になり、その危険さに鈍感になってしまうことがあるかもしれません。そして、バオバブに星を破壊されてようやく、バオバブの危険さに気づき、自分の愚かさに嘆くのです。
バオバブを抜くという仕事は簡単で面白味のないものであっても、王子様は常にバオバブを大切な仕事であると理解しています。
上記に引用した王子様の言葉は、煩雑な日常で忘れてしまいがちな、自分にとって大切なモノ・コト・ヒトについて一度冷静に考えるきっかけをくれます。
星の王子様がくれたこの言葉を日常のふとした時に思い出すことができると、大切なものを失う前に、取り返しがつかなくなる前に行動に移せるかもしれません。
教訓③-姿が見えない愛情に気づくこと-
あれこれ言うかげには愛情があったことを見ぬくべきだった。
(「星の王子様」第8章)
王子様の星に咲いている一輪のバラは、嘘や強がり、わがままを言って王子様を困らせます。ある日王子様とバラは喧嘩して、王子様はバラを置いて星を出て行ってしまいます。
上記の言葉は、星を出た王子様が旅の途中で、バラが自分に対して愛情を持っていたことに気づいたときの言葉です。
このような経験は誰しもあるのではないでしょうか。
例えば、子どもの頃は「うるさい」と感じていた親の説教や小言は、愛情だったことに大人になって初めて気が付いたということがあると思います。
どうでもいい人、無関心な人には説教や助言はしません。大切であり、愛情を持っているから、あれこれと言うのです。
言葉の裏に愛情があることに気が付いていると、相手の言葉に素直に耳を傾けることができるかもしれません。
教訓④-指摘された自分の欠点を認める勇気をもつ-
自分をほめたたえることばしか耳に入らないのだ。
(「星の王子様」第11章)
上記の言葉は、2番目に訪れた星で出会った大物気取りの男に対して王子様が思ったことです。
あなたは自分の欠点を指摘されたとき、それに対して腹を立てたり、受け流していませんか。
自分を客観的に見ている第三者の意見は、自分を高めるための大切な種です。
もちろん、人から指摘された意見を全て飲み込むべき、ということではありません。
その意見はただの批難・強要であるのか、それとも自分を成長させてくれる意見であるのかを判断する必要があります。また、その際自分の中にあるプライドは一度閉まっておくことが重要です。
教訓⑤-変化を恐れてはいけない-
指示は変わっていない。それが悲劇のはじまりだ!星は年々自転が速くなっていたんだが、指示の方は変わらなかった。
(「星の王子様」第14章)
上記の言葉は王子様が5番目に訪れた惑星に住む点灯夫の言葉です。彼は指示通り、夕方にガス灯に火をつけて、朝になったら消す、を繰り返す仕事をしていました。
昔は、点灯夫の惑星は自転が緩やかで、「昼は休む時間はあったし、夜は寝る時間があった」そうです。しかし、星は年々自転が速くなり、点灯夫の惑星は今では1分に1回転するのです。状況が変わったにもかかわらず、点灯夫への指示は変わらないため、一分ごとに火を消したり、灯したりしなければならず、1秒も休むことができないのです。
上記の言葉は、環境や状況に応じて変化する大切さを説いています。
今日正しいとされていたものが、明日も正しいとされるとは限りません。そのため、正しい答えを知っている者が優れているわけではありません。状況が変わったとき、素早く判断し適応できる者が今日では価値あるのです。
教訓⑥-人との距離を一気に縮めようとしない-
日ごとにきみは、少しづつ近くにすわるようにして…
(「星の王子様)第21章」)
上記の言葉は、どうやって相手と仲良くなれるのかについて、きつねが王子様に話した説明の一部です。
会った瞬間、お互いに好意を抱いたり、共通の趣味を見つけて一気に距離が近くなることもあります。
しかしそういった場合以外、無理に話を合わせたり、質問攻めをして相手のことを一生懸命に理解しようと焦らなくていいのです。
少しずつ相手との距離を縮めて関係を育んでいく方が固い絆で結ばれ一生続く関係になることがあるのです。
教訓⑦-大人のになったからこそできる冒険がある-
子どもたちだけが、なにを探しているのか、わかってるんだね。(「星の王子様」第22章)
上記の言葉は、地球に来た王子様と鉄道員の会話の一部です。
次々と行き来する特急列車をみて、王子様は「みんな、なにをさがしているの?」と鉄道員に聞きます。鉄道員は「運転手も知らないね」と返し、続けて「あのなかでは寝てるんだ。さもなきゃ、あくびしている。子どもたちだけが、窓ガラスに顔をおしつけているんだよ。」と言います。それに対して王子様が上記の言葉を言いました。
大人になると”安定”、”現状維持”を求め、何かを探したり、追いかけることをやめてしまいます。そのため、自分自身が何をしたいのか、どこに行きたいのかを知ろうとしなくなるのです。
「現実」という言葉を恐れ、子どもの頃の好奇心や思い描いていた夢から目を背けようとします。
大人になるにつれて子どもの時のようにはいられない、と思っている方は少なくないと思います。ですが実は大人の方が自由であることに気が付いていないだけなのです。
大人になったことで、子どもの頃よりもっと遠くまで行けたり、新しい選択肢を知ることができます。大人になったからこそもっともっと冒険するべきなのです。
おわりに
この本は短い文章の中にたくさんの大切なフレーズが隠されています。
心の余裕がなくなってしまったとき、「星の王子様」を読み返すとあなたの心がポッと暖かくなるかもしれません。
*今回紹介した書籍は、河野万里子(訳)・新潮文庫です。