木漏れ日blog

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万人に共通するの正しさなんてないー多様性を持ちやすい時代に生まれた若者と頑固おやじー

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若者2人の対話

「固定観念にとらわれて自分が生きてきた世界の正しさを押し付ける大人にはなりたくない。」

 

そう口にした21歳の彼は、人の言葉によく耳を傾け真っ向から否定せず受け止めるやさしさをすでに持ち備えている。

 

そんな彼に対して「でもその正しさを当たり前として生きてきたならそれと変わる正しさを受け止めるのは難しいんじゃないかな」と答える21歳女性。

 

柔軟な考え方を持つことの難しさを主張した21歳の女性は、自分自身がというわけではない。彼女は相手の視点にたち、自分の些細な言動が相手を傷つけないか常に気を付け、色んな人の意見を受容したいという考えを持っている。

 

そんな彼女だからこそ、’今まで当たり前とされていた正しさが否定され新しい正しさを受け入れることを世間に強要されている’人たちに対して理解を示す発言をしたのだろう。

頑固おやじの心の内

彼女はある1冊の漫画に出会い、自分の正義を振りかざす人側も受容する考えを持つようになった。

 

雨瀬シオリ著『ここは今から倫理です。4』のなかで時代錯誤な発言ばかりして嫌われてる大学教授の心の内が描かれていた。

 

大学教授は「正しさがこんなにも早く変わるもんかね、人間は何一つ変わってないのに。俺は’先生’をやっていて疲れちまったんだよ。昨日と違う次の’正義’に合わせる事、その次の’正義’に合わせる事。そんなことしてたらいつか自分の’芯’がバキバキになっちまうよ。嫌われたっておれは自分の正義が一番いい」とつぶやいた。

 

彼女は大学教授の心の内を聞いて、彼が貫いている正義も受け止めたい、受け止めるべきだと思ったのだ。

 

おかしな話だ。柔軟な考え方を持つことが大切とされ、多様性を重視した考え方を突き詰めた結果、自分が生きてきた世界が正しいと主張する人までを、よしとせざるおえなくなる。

 

そうなると自分は多様的な考え方をするけど、そうじゃない人がいてもいいとなるのか。ではいったいどれくらいの人が多様性な考え方を持とうとしているのだろう。そんな曖昧で、男性の育児休暇取得や働きながら育児可能な社会を実現して少子化を止めることなんでできるのだろうか。LGBTの方たちが挙げている声にちゃんと応えることできるのだろうか。

 

ラッキーな時代に生まれた若者たち

20代の彼らが、柔軟な考え方を持つことが重要と考えることが出来るのは、そういう時代で育ったからではないだろうか。少子化を止める、労働人口を上げるために仕事と育児の両立が必要とされ、これまで育児とは遠い距離にいた父親の育児参加が求められた。また、LGBTの問題があかるみになったり、コロナウイルスによりこれまでの生活形態や働き方が変化せざる終えなくなったり、’どう考えても変革が必要だよね’とされている時代に生まれたからこそ彼らは柔軟な考え方を持とうと思えているのではないだろう。

 

これは’時間の問題’で片付けてもさほど的はずれだとは思わない。これからも、柔軟な考え方が求められ続けるだろう。そうなれば、これからも20代の彼らのような思想に自然となる若者が増えていくのではないだろうか。しかしこれだと、時代まかせな気がして、自分の正しさを絶対とする頑固モンと変わらないじゃんと思うし、頑固モンがいなくなるのを待っているような表現にもなる。しかし、そのような誰かを排除したいというような思想でなはく、ただ、生きずらいと感じる人、マイノリティだからといって個性をなくそうとする人が、減ればいいなという願いから生まれた思想であり、そこには生きづらさを感じてる頑固モンも含まれている。前述した21歳の彼女によって、柔軟な考え方があれば、頑固モンの視点に立った考え方だってできることころもわかる。

 

かなりすごい武器だと思う。それなら時代の流れがいい方向になっていると思っていいんじゃないかな。